ユマニチュード

優しさを伝えるケア技法

「ユマニチュード」は、フランス発祥の、病院や施設で援助を必要とする人々へのケア技法です。“人間らしくある”ことを意味する造語です。今このユマニチュードが、世界中の介護・医療の現場に広がりつつあります。

「ユマニチュード」とは?

 先進的なケア技法として注目される「ユマニチュード」は、イヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティという体育学の専門家である二人が考案しました。病院や施設、家庭などケアの現場に赴いて自ら経験し、試行錯誤を繰り返して学び、生み出された技法です。
 健康の問題や年齢の影響でさまざまな機能が低下した人が、日々の生活を他人に頼らなければいけない状況になっても、最期の日まで尊厳を保って暮らし、人間らしくあり続けることを支えるのがケアの役割です。そのために、ケアを行う人は常に「私はあなたのことを大切に思っています」というメッセージを出し続けることが重要です。そのメッセージを相手が理解できるように伝えるための400を超える具体的な技術と、その技術を使う時に必要な考え方(ケアの哲学)で成り立っているのがユマニチュードです。

 ユマニチュードの実践においては、「ケアをする人とは何者か」、そして「ケアとは」「人とは」を常に自分に問い続けることがまず重要だと考えています。技術だけを追究するのではなく、相手と絆を結び、ケアをしっかり受け取ってもらうために、ユマニチュードの哲学を理解して繰り返し考えることが大切です。
 施設でも家庭でも、ケアの現場では、必要があって届けたい介護や医療を、相手に受け入れてもらえない状況も日常的に生まれます。「どうしたら受け取ってもらえるのか」「介護がうまくいかない」と悩み、迷う人も増えていきます。そのためにケアをする人が疲弊し、悪い循環に陥ることさえあります。そんな時、すぐにできるのは、ユマニチュードを試してみることです。ユマニチュードは決して難しいものではなく、介護の専門家でなくとも誰もが学んで実践できる技術です。

ユマニチュードについてさらに詳しく知りたい方は、
「日本ユマニチュード学会」ホームページをご覧ください。

なぜ平成会は
ユマニチュードを取り入れるのか

平成会では、法人全体の標準ケアとしてユマニチュードを導入することを決定し、推進しています。複数の施設でユマニチュード導入を推進する社会福祉法人は、平成会が日本で初めてです。
ユマニチュードでは、「私はあなたのことを大切に思っています」というメッセージを常に発信し続けることの重要性を説いています。ケアで一番大切なのは、相手にこのメッセージを伝えて理解してもらい、いい関係を結ぶことである、というユマニチュードの基本の考え方は、平成会の理念である「介護はこころ」に通じるものであり、法人として深く共感するものです。
また、もう一つの平成会の理念「共に歩む」は、単に利用者様と職員が“共に歩む”だけでなく、支えているご家族と、そしてまた職員同士でも“共に歩む”という考え方です。職員一人ひとりの経験・個性・資質に関係なく、誰でもが同じメソッドを学んで実践できるユマニチュードは、「うまくいかないのは自分のせいではないか」と悩み、介護の仕事をつらく感じてしまうような職員を生まないための選択でもあると考えています。

平成会のユマニチュード導入・推進の最新情報は、こちらをご覧ください